1. はじめに
本プレゼンテーションは、IFRS(国際財務報告基準)に基づくBESS(蓄電池)オフテイクモデルのオフバランス処理に関する会計的スキームを解説するものです。
特に、IFRS 16(リース会計)、IFRS 10/11(連結財務諸表)、IFRS 9(金融商品) などの適用可否が焦点となります。本スキームを適用することで、BESSオフテイクモデルの会計処理が財務的に最適化され、企業の資産計上リスクを軽減できる可能性があります。
2. BESSオフテイクモデルのオフバランス要件
- 資産の支配権をオフテイカー(電力購入者)に移さないこと
- リース判定(IFRS 16):オフテイカーがBESSを実質的に支配する場合、オンバランス化される
- SPV(特別目的事業体)の活用(IFRS 10/11):オフテイカーがSPVを支配しないことを明確化
- 金融負債の回避(IFRS 9):
- 固定価格での電力購入は金融負債とみなされる可能性
- 市場連動価格設定や非拘束的な購入義務により負債認識を回避
3. オフバランスを実現するスキーム
オフバランス化を達成するため、以下のスキームが有効とされています。
✅ ① Virtual Battery Offtake Model(仮想バッテリー)
- BESSの所有権や運用権はオフテイカーに移転しない
- 市場価格に基づく料金体系で固定的な価格保証を避ける
- リース認識を回避することでオフバランス処理を実現
✅ ② Floor Price + Profit Share Model(最低価格+利益分配)
- 最低価格(Floor Price)を設定しつつ、収益の一部をオフテイカーと開発者で分配
- 価格リスクを開発者が負担することで、リース認識を回避
- 変動部分(Profit Share)を増やし、金融負債の認識を防ぐ
✅ ③ Merchant Model(市場価格連動型モデル)
- 固定価格保証をせず、市場価格で電力を売買
- オフテイカーが固定的な購入義務を負わないため、金融負債を回避
- 市場変動リスクを活用し、リース会計の適用を防ぐ
4. ステークホルダー調整と契約のポイント
- リース判定を回避する契約構造
- オフテイカーがBESSの運用を支配しない契約条項を明記
- 金融負債認識の回避
- 市場価格連動型の料金体系を導入
- 固定価格保証を排除し、変動要素(レベニューシェア等)を強調
- 税務・規制上の影響
- SPVの活用時、税務リスクの最小化が必要
- ステークホルダーの合意形成
- 投資家・金融機関・オフテイカー・規制当局の意向を調整
- 契約内容の透明性を確保し、紛争リスクを軽減
5. まとめ
- オフバランス化には、リース判定回避・金融負債回避・SPV活用がカギ
- 「Virtual Battery Offtake Model」「Floor Price + Profit Share Model」「Merchant Model」 などが有効な解決スキーム
- 契約設計の工夫が必要(リスク分担の透明性確保、IFRS適用回避の条項設定)
IFRS16のオフバランス処理完全ガイド(BESSオフテイク編) -オフバランス化のスキームを実際の事例を交えて解説!-|Akira